●TEXT●
●TEXT●

*HOME* *BACK*

画家のアトリエ[絵画芸術] - VERMEER

一目見て涙が出そうになった。
そんな、本当に現実味の無い感覚だった。
一枚の絵でこれほどに感動するものなのだろうか。
青と黄とが争わずに混ざり合って"絵画芸術"を成しているのだ。
「この絵を手中に収めたい。」「飽きるほど見つめていたい。」
芸術作品が利益以外の目的で盗難にあう所以だ。
人を必要以上に酔わせる魅力が
キャンパスには描き、創り出されている。


距離感が消える視点、
それがこの絵の統一性の根拠だ。
そこにはフェルメールの類稀な眼が活きている。
着眼点は見事に一角の芸術性を捕らえている。
印刷物以上に明るく色濃くもあるこの絵、
そのカーテンは眼を喜ばせる色彩であり、
キャンパスと絵の具であることを忘れさせる。
床の白と黒ははっきりしており、
踏み汚されていない空間で、
アトリエとしては不思議なほど小奇麗に、物静かに、
意味を為すものだけが佇んでいる。
ほぼ中央、消失点近くには
青い衣装を纏ったミューズとされている女性。
トランペットを持ち、
フェルメール特有である温かみを帯びた掌で本を抱え、
視線を何処か下の方に逃がしているようだ。
今彼女は描かれている。
相手は右横の漆黒の衣装に身を纏った画家。
フェルメール本人だとされている。
「真珠の耳飾の少女」が映画化されたが、
この作品にもそのようなエピソードがあったのだろうか。
二人の関係は絵画の中の世界だけなのだろうか。
でもそれはどちらでもいい。
フェルメール本人が他の作品とは別に、この作品のみを生前大切に 所持していたことは有名な話である。本人にとって、生活以上に 大切な作品であったのであろう。この作品に対するフェルメールの思いは、 フェルメールにしか知らない。
それだけでも、一枚の絵を観るのに充分なまでの想像が出来てしまう。

本当に大変な道を辿った絵画作品だ。こうして現在美しい状態で 観賞できるのは奇跡かもしれない。本当に、この絵画との出会いを 誇りに思う。そして、一言フェルメールに感謝の言葉を言いたくなった。




フェルメール「画家のアトリエ」栄光のオランダ・フランドル絵画展


+Gertrude+
(C) Maetaka All Rights Reserved